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考察!ビットコインを巡る課税関係 ~仮装コイン難解で捕捉しづらい存在~

【仮装コインを巡る課税上の問題(概要)】

近年、ビットコインを巡る詐欺事件などが起こり、巷ではビットコインをはじめとする仮装コインが徐々に普及しているとの声も聞かれるようになった。

ビットコイン1

難解にして捕捉しづらい存在の仮装コイン、様々な仮想コインが全世界で広がりを見せているようであるが、仮装コインがある程度普及し、脱税の手段として、あるいはそこまで行かないまでも、多額の課税漏れが存在すると税務当局が踏んだ場合、積極的に課税にまわる動きも想定できなくはない。

買い物のポイントのように、仮想コインを使って、こまごまとした物品を購入したり、ゲームでポイントを貯めているうちは、当局も見て見ぬふりをするか、相手にしないであろう。

個人の場合、年間で例えば、「給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える」場合などは所得税申告をする必要がある。

ひとつのボーダーラインとして年間の所得20万円という金額が考えられるが、複雑で膨大多岐に渡る社会経済取引の中で当局の目を引くようになるのは、不動産、自動車、宝石・貴金属といった高額資産を仮装コインで購入するようになった場合ではないかと思われる。

法律イラスト

 

しかしながら、いくら課税すると言ってもそこには三つの大きな壁が存在する。

①税法はあくまで私法行為が存在しての課税関係なので、私法における仮装コインの定義が決まらないうちは、その取引が何の取引に当たるのか悩ましい事態に陥る。

通常の通貨を使用して、物品を販売したという私法行為が売上となり、課税関係を生じさせる。“売上の計上が翌期になっていれば、売上計上漏れ”、“現金売上を故意に漏らし、帳簿に計上していなければ、売上除外で重加算税対象あるいは脱税になる”といった具合である。

そもそも、仮装コインとはどういうものなのか私法上の取扱いが決まっていないと、税法上どう取り扱うかが難しいということである。

②もう一つは、税法上仮装コインをどう取り扱うか、税法及び取扱通達においても定義を定める必要があり、これを定めないと課税処理の統一性が確保できなくなる。税務署によって、あるいは調査担当者によって解釈が異なり、ひいては税額が異なると言った事態に陥りかねない。

③三番目は税務の執行面での対応である。仮装コインに係る課税取引を税務当局がどうやって把握し、課税漏れを把握するかである。NETで手軽に、金融機関を通さずできるのが仮装コインの特色であり、取引の把握が難しい。

まして、国外の市場などで取引が行われた場合など、把握が一層困難になる。執行面での把握が困難になると、課税される者と課税されない者が生じて、税の基本である適正公平な課税が損なわれることになる。

札束5
10年以上前にあったストックオプションに係る課税のように、税務当局側で突如一時所得による課税から給与所得による課税に変更され、税務の第一線が大混乱するといった事態にもなりかねない。

このような悩ましい存在の仮装コインについて、税理士という立ち位置でどう対応していくか、顧問先から依頼を受けた場合どうか。これも頭を抱えざるを得ない事態になる。

当局が悩ましいと考えている以上、税理士としても仮装コインをどう解釈し、どう対応したらよいよいか、納税者の不利益にならないようどう考え、申告したら良いか極めて悩ましい課題となる。

そこで、多種多様な仮想コインの中から、一般的に知られている“ビットコイン”をモデルに、課税関係に関する筆者なりの解釈をまとめてみました。

<参考資料>
「税大ジャーナル23 2014.5 論説ビットコインと税務(大阪国税不服審判所次席国税審判官 土屋雅一氏)」

金延べ棒4
1前段
まず我が国政府はビットコインをどうとらえているかというところから、話を起こしていきたい。

政府は、ビットコインを次のようにとらえているようだ。
①通貨ではない
②銀行業として行う行為ではなく、金融商品取引法に定める有価証券にも該当しない
③債務の弁済手段として使用することを一律に禁止する法律は存在しない
④所得税法、法人税法、消費税等に定める課税要件を満たす場合は課税の対象になりうる
⑤犯罪収益移転防止法により、特定事業者に対し特定事項等の確認義務を課している

①~⑤から政府はビットコインをコモディティの一種として取り扱う方向性で考えているように見受けられる。

2所得税
まず真っ先にビットコインを課税してくるのは所得税ではないかと思われる。所得税法における所得とは税法固有の概念で、ビットコインの取引で得られた経済的利益は所得を構成し、所得税の課税対象となると考えてくることは明白である。

【仮装コインを巡る課税上の問題(概要)】で掲げたような2つの壁があるものの、過去においてストックオプション課税を行ったように、既存の税法や通達を使って課税してくることが想定される。

①営利を目的とした継続的な取引
この場合、ビットコインから生じた利益は、事業所得又は雑所得で課税になる。購入したビットコインを取得価額よりも高く売った場合は、所得が発生し所得税が課せられる。

②投資目的でビットコインを保有する場合
投資目的で得た売却益は、譲渡所得として課税される。

ところで、ビットコインを使って他の資産やサービスを購入したり、債務を弁済したりした場合など、やっかいなことになる。なぜなら、取引をしたときのビットコインの市場価格と取得したときの価格の差額を利益ないし損失であると捉えるからだ。

(例示)100万円で購入したビットコインで250万円の自動車を購入した場合の仕訳

借方 金額 貸方 金額
自動車 250万円 ビットコイン 100万円
ビットコイン売却益 150万円

この仕訳の意味するところは、市場価格100万円で買ったところのビットコインがその後値上がりし、250万円の価値のある自動車を購入した時点で、ビットコインの未実現利益が実現、ビットコインを売却したときと同じ効果、すなわち売却益が生じるという考え方である。

税務当局は間違いなくこの考え方を取ってくるはずであり、【仮装コインを巡る課税上の問題(概要)】で述べたように、不動産、自動車、宝石・貴金属といった高額資産をビットコインで購入したとき、多額の所得税が課せられる恐れが出てくる。

ただし、当局がこれら取引をどう捕捉するのか、課税するための根拠だけでなく、執行面での悩みも深まることも間違いない。

確定申告2

3法人税
法人税法は一般に公正妥当な会計処理の基準に従った企業会計から導き出されるという形を取っているので、所得税のように単純にはいかないかもしれない。企業会計の指針が決められれば、それにのっとり法人税が課税されことになる。

課税となれば、売却益に課税になるし、ビットコインを使って資産などを購入したときも、所得税と同じように課税になる。

所得税と異なる点は、トレーディング目的で保有する棚卸資産である場合、決算期末時点で時価評価をしなければならなくなる点である。この場合、税法や通達を制定・整備する必要がある。

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4消費税
ビットコインを巡る課税において、もっともややっこしいくなるのは消費税ではないかと考えている。政府の見解と思われるコモディティであれば、棚卸資産あるいは固定資産(投資資産)として消費税の対象となりうる。

ただし一方で、ビットコインは単なる電磁記録に過ぎないとの考え方もあり、この解釈を取った場合、消費税の課税対象になり得るか疑問が残る。

さらに、ビットコインだけでなく、様々な種類の仮装コインが誕生し、それぞれの特性を判断する必要が出てきた場合、消費税の課否に関して税務の第一線は混乱する可能性がある。

税務の第一線での混乱を避けるため、法律や通達を整備する必要があることは、前述のとおりである。

なお、個人が事業としてでなく、ビットコインを単に売買した場合においては、現行法でもそうであるように、消費税が課税されることはないと思われる。

5相続税
相続税法上の課税財産は民法からの借用概念により構成されており、当然民法の規定に基づき解釈されるべきである。現行法でも、営業権のようなあいまいな財産も相続税の課税対象となっていることから、ビットコインについても財産的価値のあるものとして課税してくる可能性は十分にある。

こちらも同様に、税務の第一線での混乱を避けるため、法律や通達を整備する必要があることは他の税法と同じである。

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6贈与税
贈与税の課税物件となる贈与財産には、財産権の対象となる一切の物及び権利が含まれる。贈与財産の意義についても、相続税と同じように民法の規定を借用することになる。

しかし、贈与税には“みなし贈与財産”の規定があるので、民法上ビットコインが贈与財産に該当しない場合でも、対価を支払わずに利益を受けたことが認定できる場合は、みなし贈与財産として贈与税の対象となる可能性がある。

7税理士としての対応
【仮装コインを巡る課税上の問題(概要)】でも申し上げたように、ビットコインの取扱いについて、顧問先から相談を受けたり、申告を頼まれた場合どう対応すべきか。頭の痛い問題となる。

一義的には、納税者の不利益にならないように考え、アクションを起こすしかない。既存の税法や通達を踏まえ、一定の方針を立てたところで、納税申告をしていくことが最良の策ではないか。

故意の不作為による無申告、過少申告による重加算税処分や脱税処分を受けて、納税者に不測の税務リスクを負わせることのないように配意する必要がある。

くれぐれも税理士が脱税指南をしたとの指摘を受けることのないよう、最新の情報収集をしたうえで、慎重かつ適切な判断と税法だけでなく持てる知識や経験をフル活用して、相談や申告書作成をするべきである。

当然ながら、顧客へのしっかりとした説明と理解を得ておくのは言うまでもない。

いずれにしても、ビットコインをはじめとする仮装コインを巡る課税関係には、今後とも注視していく必要がありそうだ。

2重税感

【注意喚起】
当コンテンツは筆者の私見により作成したものであり、法的な裏付けに基づくものでなく、記事の内容に責任を持つものでもありません。当コンテンツの考え方に沿って、納税申告をしなかった場合、あるいはしたことにより、損害が生じたとしても弊社事務所が責任を負うことは一切ありません。

仮想コインに係る税務申告等で不明点や疑問点がある場合は、必ず顧問税理士に相談していただくようお願い申し上げます。

<参考資料>
「税大ジャーナル23 2014.5 論説ビットコインと税務(大阪国税不服審判所次席国税審判官 土屋雅一氏)」

https://www.nta.go.jp/ntc/kenkyu/journal/saisin/260430_tsuchiya.pdf

 

執筆者  株式会社SKC&堀内税理士事務所  代表・税理士 堀内 章典

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